第5回
渡部 政一
渡部政一の言わせてもらいます Vol.5

 

『正しい謝りかた』について。

 前回「いろんな意見があっていいのでは」と書いておきながら矛盾するようですが、これに関しては譲れませんので、あしからず。
まず、最低最悪の悪い例。今回のJR西日本の社長がやらかした「ペーパー棒読み、一応頭だけは下げておく」ような態度。あれで謝罪、誠意が伝わるわけがありません。

 いきなり私事で恐縮ですが、僕には大阪のラジオ局に勤めている5歳下の従兄弟がいます。育った家も近く、末っ子の僕にとって弟代わりの存在です。彼があの路線を使って通勤していることは聞いていました。夕方、電話がつながったときには、ほっとすると同時にゾッとしました。朝、彼はあの快速電車に乗る予定で家を出た後、忘れ物をしたことに気付いて一端家に戻り、再び駅に向かったところJRが不通。理由も分からないまま阪急電鉄で会社に向かうと「オマエ生きていたのか!」と、大変な騒ぎだったそうです。まさに、紙一重。もしも・・・を想像するとき、被害者の方や遺族の方の声があまりにもリアルで、ティッシュペーパーを手放すことが出来ない日々が続きました。
その後ボロボロと出てくる嘘やごまかしの数々には、怒りを通り越して、絶句のひとことです。

 一方、「正しい謝りかた」の例をひとつ。あの日、僕は仕事でドタキャンを食らい、ちょっとムッとしていました。相手のK氏は、最近いわゆるヘッドハンティングで新しい会社に移ったばかり。その新会社での”第一号仕事“を獲得するためのプレゼンに貢献した(つもり)とゆう自負があったからです。

 翌日「このワタベとの打合せをドタキャンしなきゃいけないほどの用事って何だったんですか?」と、皮肉たっぷりに聞きました(我ながらヤな奴ですね)。するとK氏はまず「渡部君すまん。こっちが全面的に悪かった。謝る。」と詫びた後、こう続けました。「実はね、以前ウチのスタッフが納入した作品に大チョンボが見つかってさ。全ての予定をキャンセルして謝りに飛んで行ってたんだ。」「えっ、それってKさんの責任じゃないんじゃ・・・」と、僕。「責任あるさ。今、彼らは俺の部下なんだよ。
 クライアントにとって俺が入社する前か後かなんて関係無いだろ。ともかく“全面的に当方のミスです。申し訳ありませんでした。”と、ひたすら謝り続けたね。先方が何かひとこと言うたびに、また“全面的に当方のミスです。申し訳ありません”を繰り返す。これを一時間ぐらい続けるうちに、あまりのしつこさに先方が笑い出しちゃってさ。“もうわかりました。今後は気をつけて下さいね。”と言って下さったんだ。助かったよ。」と、K氏。

 これぞ、『正しい謝り方』。怒っていた相手を、最後には笑わせてしまうほどの誠意。僕だったら「だって知らなかったんだもん」と言い訳してしまいそうなシチュエーションを、全面的に引き受ける、潔さ。感心してそう言うと、K氏は「だってさ、そのチョンボの内容、俺知らないんだぜ。“全面的にごめんなさい”としか謝りようがないだろう?」との回答。これには吹き出してしまいました。さっきまで“ムッとしていた”はずの僕もまた、いつのまにか笑っていたのです。

 さて、ここでEIPCのコラムらしいオチを。もし、健康障害との因果関係が証明された場合。その時、“内断熱擁護派”の皆さんは、どんな謝りかたをするつもりなんでしょうか。今から、楽しみです。
 次回は「外断熱ブランド化のすすめ」の巻、の予定です。

<次号へつづく>

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渡部政一さんの経歴については「第1回」を参照してください。



 
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