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海外の外断熱事情について、現地視察の様子をふまえてお知らせします。 |
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次に、シュトゥットガルト大学では、シュミット教授の講義を伺いました。同教授はベルリン工科大学のご出身で、ドイツ技術者協会の建築設備部会長の要職をも兼ねておられる方で、室内空間の空気環境の研究をしておられます。そのための一つの試みとして、低エネルギー住宅の建設についてのお話をうかがいましたので、ご報告いたします。同教授は快適な生活が出来ることを前提に、予め建物で使用するのに必要なエネルギー量を算出して、基準作りをしたいと考えているそうです。そして、それに見合うエネルギー効率の良い建物を建てるべきで、それをせずにエネルギー消費を各家庭に任せて、これをたれ流させるのはよくないと指摘しておりました。 また、これを太陽エネルギーでまかなうといった代替エネルギーの研究も重要ですが、これには限界があり、正しい方向ではないと考えており、将来の目標としてはゼロエネルギーの住宅を多数供給できたらと考えているそうです(この点、日本はオイルショック以降、省エネとは名ばかりで、代替エネルギーを求めて原子力発電所の建設に邁進したことを思い浮かべ、ドイツとの違いを認識いたしました)。 そのための試みの一つとして、3リットルハウス(低エネルギー住宅)の建設にとりかかったそうです。この企画は、もともと住宅供給公社が1930年に2階建て煉瓦積みの建物を24戸建設しましたが、一戸の間取りが50uと(当時は標準だったのですが、今では)狭くなり、建物としての性能も劣悪となってきたため、これら中古住宅を低エネルギー住宅へと改修することになったそうです。2002年春にプランニングが始まり、2005年春で全ての工事が完成する予定だそうで、一部完成した部屋もあるし、改修前の部屋も見られるとのことなので、見学させていただきました。改修の要点は、建物の外断熱化をはかること、窓ガラスを3重ガラスとすること、暖房については温水のパネルヒーターを用い、空気暖房と併用すること、冷房には地熱を利用した方法を採用することなど、随所に創意工夫を凝らして低エネルギー住宅へと改修しているとのことです。 次に、我々が訪ねたローゼンハイムにある窓の研究所(iftと略称)をご紹介いたします。もともとドイツでは、建物の開口部の性能の確保、躯体との納まり等を重要視して、それを専門に研究する研究所があります。それがiftです。ドイツでは省エネ基準値が定められているため、住宅が使用するエネルギー消費を出来るだけ減らそうとしており、それに有用な建物の外断熱化や開口部(窓)の高性能化に取り組んでおりますが、日本では建物施工業者やその下請けのガラス会社に全てまかされているため、外断熱建物も作られなければ、高性能な窓も作られて来ませんでした。その結果、「日本の全炭素ガス排出量のほぼ半分を建設関連分野が占めている」(山岡淳一郎編・著「イスト」2004年3月号より)といった状態で、地球温暖化防止のための施策が全くと言って良いぐらい、行われて来ませんでした。大いに反省すべき点であると認識した次第です。 最後に、1158年に建設されたホテルに泊まってまいりましたので、その印象をお伝え致します。ここは日本で言えば、平安時代に建設されたホテルです。木や煉瓦、それに漆喰による建物で、この町全体が中世をそのまま残したような建物ばかりが並んでおりました。高台に残るお城は石造りでしたが、町はこのホテル同様に木組み建築の建物でした。ホテル内にはエレベーターが一機設置され、バス・トイレは水洗で、それなりに近代的設備を備えたホテルとなっておりました。各部屋は昔のままに配置されているようで、王様が滞在したと思われる部屋は広くて調度品も立派で、ベランダには庭園まで出来ており、バス・トイレでさえ大変に広いスペースをとっておりました。他方で、同行した家来が宿泊したと思われる部屋はその身分によって違いがあったようですが、狭いところは一流ホテルのシングルスペースぐらいの部屋だったようです。当日は、部屋割を無作為で決めましたので、当たり外れに一喜一憂といったところでした。なお、私は家来の中でも少しだけ上のクラスの部屋だったようで、可もなく不可もなし、ということでしょうか。入り口にはフリードリッヒ1世の絵が掛かっており、中にも大きな肖像画が掛けてありましたので、当夜は王様になった気分で眠りにつきました。
こうしてドイツの建築事情を垣間見てまいりましたが、日本と大きく違っている点は、建物の耐久性に対する考え方が異なっていることです。一度建築された建物は、それがどのような建物であろうと(お城やお寺でなくとも)、その時代の施工技術や施工者の情熱、施主の思い入れなどが凝縮した歴史的に有意義なものであり、社会にとっても重要な財産なわけです。また、時代によってはその時しか手に入らない部材を用いている場合もあり、設備が古くなったとか、間取りが狭いなどの理由で簡単に全てを壊してしまう合理性はないと言えます。新しい技術や設備を古い建物に融和させて、よりすばらしい建物を築いていく努力の方が重要ではないでしょうか。 もう一点、ドイツでは居住空間の快適性の追求に力を入れております。日本のように気候温暖で、緑豊かな国土では、建物はせいぜい雨露をしのげれば良いと考えて来たのかもしれません。荒涼としたヨーロッパの国土とは異なるとの反論がされそうですが、オイルショック以降は日本でも高断熱・高気密の建物が作られており、今後はどの程度まで高断熱・高気密化を進めるのか、このことに伴う弊害についてはどのような解決するのか、研究する必要があります。
以上の問題意識を持って、8月27日成田空港へ無事に戻ってまいりましたので、ここにご報告いたします。日本の現状については調査不十分のため、誤った認識を有しているかもしれませんが、その点はご指摘いただければ勉強していきたいと思っております。ただ、ドイツでの印象を少しでも皆様に理解していただくことが出来れば幸いです。
なお、最後になりましたが、実にすばらしいメンバーの方々と一緒に旅行が出来、一生の思い出になりましたことを改めてここに感謝申し上げます。以上 |
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