●イエテボリ便り●

<<第四回スウェーデン・ドイツ外断熱調査ツアーで訪問する、イエテボリ市より
現地でコーディネートをしていただく友子ハンソンさんより便りが届きました。>>

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外断熱推進会議の皆様へ − イエテボリ便り
友子 ハンソン

 つい最近のニュースによると私達人類はアフリカから生まれたそうだ。そのアフリカから生まれた、私達の先祖も、自分の住む場所を決める際には、安全で居心地のよい場所を選んでいったであろう。それは、安全性は、自分達の部族や一族の生存にかかわるもっとも大切な要素であったからだ。
 21世紀にすむ私達も、まず安心して生活できる場所を探しそこに居住しているようだ。住居の選択という意味では私達は依然として、原始時代の先祖と少しもかわっていない。
 もちろん、現代社会にすむ私達は、安全なだけでなく、美しい住居や、快適性や便利さも求めるであろう。近くに学校があり、お店もあり、必要な際には医療ケアを受けることが出来るということも住居の選択には重要な要素となってきている。
 気候条件が悪く、寒さが厳しく雪や雨の多い北欧にすむ人々にとっては、安全な住居という言葉には様々の意味が含まれている。
 寒さや風、雨から身体を守るだけでなく、病気を蔓延させる原因になるともいわれる湿気や黴を防ぎ、さらに、ダニなどが生息しにくい住居。 建物に、アレルギーの原因となり、火災発生時に有毒ガスを発生するような新建材を使用していないこと。有限のエネルギーの無駄な消費を防ぐよう十分考慮された建物。 これらすべてがスウェーデン人の考える"安全な住居"に含まれる要素なのだ。
 また、こういた"安全な住居"は当然快適なものとなっている。 このように安全に基礎設計された建物には、建物の外壁の色や素材を選択できたり、室内の壁紙の色や素材、間取り、電気製品などをある程度自由に選択できるようになったものが多い。
 さらに、住居で暖房に使用するエネルギーにも選択余地が生まれてきている。従来の、重油から、電気、ガス、余剰エネルギーそしてバイオ チップなど、今後ますます再生可能なエネルギーを使用する住宅が増えてゆくようだ。
 こういった安全で快適な住宅を、誰もが入手できるような方法で、しかも、住みやすい便利な場所に提供することが、行政の都市計画者の役目となっている。そのためには、魅力的な人気の住宅地に、賃貸マンションから、買取式マンション、一戸だて住宅などの、収入と家族構成により自由に選べる様々のタイプの住宅をそろえることが行政の責任といえる。
 私の住む、スウェーデンの西海岸地方にあり、海に面したイエテボリ市は、スウェーデンでは2番目の大都市であり人口約46万人の産業都市だ。産業都市という性格上、環境問題には以前から高い関心を示しており、2050年までには、化石資源を一切使用しないという壮大なエネルギー ビジョンを実現させようとする都市でもある。
 このイエテボリ市は、その郊外に、2002年度には20戸の無暖房住宅を建設した。これらの住宅は居住権利を売却するタイプであったが、低所得者むけの賃貸マンションの建設も活発に進んでいる。
 一般的にスウェーデン人にとって、家は一生の住み家ではない。通常、人間は一生のうちに5−6回は住居を変えてゆくと考えられている。 自分が人生のどの時期にあるかに応じて、その時期に適した住宅にすむことは当然のことであると考えられている。従って、住宅のローンを完済することは、スウェーデン人にとって最も重要な事柄とはいえない。次ぎの住宅に移転する際に、いかに良い条件で現在の住居を売却できるかが大切だといえよう。
 2004年度中には、イエテボリ市内において、約2000戸の公共住宅の完成が予定されているが、うち600戸は低所得者むけの賃貸マンションとされる予定だ。特に、アムフルト(旧空港の跡地の再開発地域)、フェルボー パルク(旧依存症患者の入所施設跡地)の賃貸マンションは、通常の新築住宅の家賃をずっと下回るような家賃で提供される。
 日本と同じく、80歳以上の高齢者が人口の5%以上を占める高齢者社会のスウェーデンでは、高齢者むけの様々の住宅の需要もたかまってきている。虚弱病弱の高齢者向けのケアつき入所施設である特別住宅(イエテボリでは高齢者住宅と呼んでいる)は高齢者福祉部門に属している。 しかし、そうではなく、まだまだ元気ではあるが、庭つきの一軒家に住むことを好まなくなった人々のためのシニアハウスが流行してきている。 行政や建設会社が企画するシニアハウスも誕生しているが、一種の共同組合形式のシニアハウスが最も新しい傾向といえる。 
 スウェーデン人は昔から、フォレーニングと呼ばれる一種のクラブ活動が大好きで、大抵の人が1つか2つのフォレーニングに所属している。フォレーニングには、消費者活動などに代表される経済フォレーニング、会員の利益を追求する労働組合に代表される利益者フォレーニング、そして、会員の理想をベースにした非営利フォレーニングがある。
 この会員に経済的利益を与える目的で運営してはならない経済フォレーニングに、共同住宅所有者フォレーニングが属している。フォレーニングを結成し、シニアハウスの管理運営をするのみでなく、最近では、シニアハウスの計画までおこなうフォレーニングも誕生している。
 1970年代にスウェーデンでは、ヒッピー達が好んだコレクテイブ リビングという考え方が流行した。個々の居住空間はあるがが、共通スペースを保有しており、食事の仕度や掃除を分担しながら、助け合って生活するという考え方だ。 一種のグループホームと考えてもよいだろう。
 気のあった仲間同士や友人知人が集まり、フォレーニングを結成し、行政と協力しながら高齢虚弱でも生活しやすい安全な住居を作る人達もでてきた。 必要なケアは、フォレーニングが職員を雇用して提供する場合もあり、公共のケアを利用するものもある。
 マルチ国家の感がますます強まってきたスウェーデンだが、こういった文化習慣、そしてニーズの違う人々に満足される住宅を提供する行政側の責任も多大といえよう。


友子 ハンソン
スウェーデン イエテボリ市に在住。
翻訳、通訳のフリーランサー。
社会福祉関係などの通訳が多い。

"お母さんが子供になった" 講談社 翻訳、"欧米の介護現場" 一橋出版 共著、
"私にもできる" 萌文社 翻訳、"症状が重くなった方が介護が楽になる" 北欧研究所 翻訳
"スウェーデンからの報告" 井書房 共著、翻訳、"スウェーデンにおける施設解体" 現代書館  翻訳、"家族に潜む暴力" 青木書店 共訳"、"今なぜグループホームか" 筒井書房 翻訳その他。



スウェーデン・ドイツ「団地再生と外断熱の旅」
視察訪問期間 : 平成16年8月26日〜9月5日(9泊11日)
参 加 人 数 : 20名〜25名
企      画 : 特定非営利活動法人 外断熱推進会議
旅行企画運営 : 株式会社ジェイティービー虎ノ門支店 国土交通大臣登録旅行業第64号 東京都港区虎ノ門1-26-5

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