今川祐二のハンス・エーク同行記
第3回 東京から長野へ

 

2月22日(火)

朝ホテルで朝食をとる。
バイキングの食材を選んでいると、ハンス氏が食堂に入ってきた。
洋食が少なく、日本食を選ぶハンス氏。
食材の味覚が解らない様で、手当たりしだい持ってきた。
醤油をかけ、美味しそうに食べていた。

しかし、納豆は気に入らなかった様だ。
その後の朝食でも、納豆は食さなかった。

今日は移動日になる。
東京駅から新幹線あさまで長野に向かう。
東京駅で宮坂理事、堀内事務局長、友子・ハンソンさんと落ち合うので、ホテルからタクシーで有楽町駅前に向かう為、ホテル前でタクシーを止めた。

タクシーのトランクに荷物を積み乗込もうとした時、ハンス氏はやおら右後部ドアを開けようとした。
運転手さんがあわてて、NO、NOを連発、朝の交通量の多い時間帯で、あわや事故になるところだった。
交通事情が、スウェーデンと違う事を忘れていた様で、タクシーに乗り込んで、ハンス氏は苦笑していた。

ハンス氏がカメラフィルムとコンセント変換器を購入したいとの希望で、有楽町のビックカメラに寄る。
フィルム売り場は解ったが、売り場で何か問いかけるが、意味が解らず売り場の人に聞いてもらうと、ポジタイプのフィルムが欲しかった様で、無事購入できた。
スライドにして、帰国報告などに使うのだろう。

有楽町から東京駅までは、山手線で向かう。
通勤ラッシュ時間帯を過ぎているので、あまり混んでなく、ラッシュ体験は出来なかったが、天井付近の広告の多さに目を奪われていた。
東京駅で、宮坂理事、堀内事務局長、友子・ハンソンさんと合流する。
ハンス・エーク氏は何にでも興味をもつ。
時間があると、付近を散策したりする。
新幹線の待ち時間中も、駅ホーム内をカメラ片手に歩き廻っていた。
足の状態もまだ悪いようで、歩行訓練も兼ねている様だが、発車時間が気になる事もあつた。

新幹線あさまで、長野に向かう。
車中からの景色もそこそこに、プレゼンテーションの確認を堀内事務局長と始めた。

ようやく終わり、雑談の中に宿泊先のホテルについての感想は、暖房がダクト型の温風方式の為、室内に風が巻き起こり不快なこと、窓が開けられず(危険防止)大変暑かった事、朝窓ガラスが結露でべしゃべしゃだった事を話し、日本のホテルは環境が悪いと印象を述べた。
ハンス氏がビールを口にするころ長野に到着した。

綿半鋼機(株)の宮下部長が長野駅まで出迎えてくれた。
昼食は信州そばを食べる予定を組んでいたが、ハンス氏は、ピーナッツ系の物にアレルギー反応があるため、そばも心配だった。


▲信州そば屋の前で

老舗の信州そば店に入ると、古風な店構えをハンス氏は気に入った様子で、土足で小上がりに上っだ。
小上がりに席を設けたが、足の痛いハンス氏にとってはこれが難敵の様だが、足を伸ばすことで本人は了解する。

ハンス氏は箸の扱いが上手だ。
昨年暮れに、韓国で開催された国際ソーラーシティ会議に招かれているので、「滞在期間中箸を使う事でなれた」と本人の談。
そばのアレルギーも無い様で、美味しそうに食べていた。


▲バスのハンス氏(いつも窓を開けていた)
 
食後、宿泊するホテルのマイクロバスで、善光寺見学に向かった。
車中でも、盛んに「暑い暑い」を連発し、一人窓を開ける始末だ。
善光寺では、日本の社寺仏閣には興味が有るようで、建築家本来の顔があった。


▲善光寺の大香炉に線香を入れるハンス氏


▲善光寺のハンス氏、友子さんと

次は小布施町に向かいました。
小布施町は、葛飾北斎が滞在し、小布施の文化サロンとなった高井鴻山の隠宅『ゆう然楼』がある町です。
それを町が記念館として、廻りの建物も古い町並み風にして再現した『町並み修景事業』としているところです。


▲小布施町の街並みを歩くハンス氏と友子さん

北斎館を見学した。
北斎の作品を見たハンス氏は、大変興味もっているようでした。
記念品売り場では、北斎の絶筆画と言われている[富士越龍](ふじこしのりゅう)の掛け軸絵を購入していた。

町並みを見学後、宿泊先に向かう。

そこで、アクシデント発生。
マイクロバスが、T字交差点でエンジントラブルを起こし、エンスト状態になったのです。
郊外の道とはいえ、夕方の帰宅時間になるため、徐々に交通量が増え、バス後方には車の渋滞が発生してきました。
そこで、全員出動して車の誘導にあたりました。
ハンス氏はその行動に感動したらしく、車から降りて誘導風景をカメラに収めていました。

その後、代替バスがきて乗り換え、無事ホテルに向かいました。

翌日の講演に使用する機材購入の為、途中総合家電店に立ち寄る。
店の中でファンヒーターを見つけたハンス氏は、「これは暖房機か? こんな物を室内で使用したら室内空気が汚れるのではないか? 内部燃焼機材が室内で使用できる空気はどのようにして、確保するのか?」と私に質問してきた。
「長野や東京その他でも、この暖房方式がほとんどで、全室暖房は行われていない、断熱も100ミリ以下で気密や換気についてはあいまいな状態です。」と答えると断熱・気密・暖房の遅れを再認識したようだった。

宿泊先は、湯田中温泉『よろずや』で、創業200年を越える老舗旅館です。
本館より松籟荘という昭和14年(1939年)に完成した木造数寄屋造建物に通された。新館からの接続部の、内玄関の上がり框は屋久杉の一枚板で、廊下床板には欅の一枚板など、今では入手出来ない素材をふんだんに用い、贅を尽した造りです。
ハンス氏はこの建物が大変気に入った様子でした。

ハンス氏の部屋は、本間10畳+次の間4.5畳+踏込み2畳+書院+広縁+ヒノキ風呂+トイレといった部屋で、「この部屋で、独りで寝るの?」と質問。
しかし、内風呂があるため後でゆっくり入れると気に入っていた。
夕食前にお風呂に入った。
ハンス氏を誘い、大浴場に向かった。
ハンス氏に、大勢で入るお風呂の経験はあるのか? と聞いたところ、サウナの習慣があるとのことだった。
浴槽に入って間もなく、ハンス氏の姿が見えなくなった。
湯煙もひどく、気が付かなかったが、ハンス氏には暑い風呂には入る習慣が無く、暑い温泉が苦手の様だ。
部屋にもどっていたハンス氏に聞くと、後で低温水にして内風呂に入るとのことだった。


▲湯田中温泉のハンス氏

夕食は、大広間で綿半鋼機さんの2名を含め、全員で行った。
足が痛いハンス氏には、座台を用意してもらった。
席につくと、縁側越しに見える庭を、珍しそうに見ていたが、建物の感想を聞くと、
「部屋の暖房は、温風式ラジエター方式で室内に風が巻くため不快である。」
気密性の悪い引き違いの建具と、単板ばかりの窓ガラスの採用に疑問を感じると共に、パワーによる暖房方式の不経済性をのべていた。

<次号に続く>


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