新潟県中越地震 「応急仮設住宅」視察レポート

 

特定非営利活動法人 外断熱推進会議
事務局 太田 昌宏


此度11月8日から10日までの3日間,総勢8名で新潟県中越地震における災害救助法に基づく応急仮設住宅の視察を行なってきた。特定非営利活動法人 外断熱推進会議からは3名,康和地所(株)から3名,野原産業(株),綿半綱機(株)からは各1名,計8名。

▲長岡市応急仮設住宅建設現場 写真中央が太田

8日は東北新幹線で郡山まで行き,その後自動車2台に分乗し磐越自動車道でお昼前に新潟市内に入った。当日もかなり大きな余震(M5.9 最大震度5強)があったが,新潟市内は比較的平静を保っている様子であった。

新潟県庁でのヒアリング
新潟市では県土木部都市局建築住宅課 課長補佐 渡辺氏に仮設住宅の建設状況及び仕様等についてヒアリングを行なった。
豪雪寒冷地であることから,屋根の積雪荷重を2mとし,断熱材を通常の仮設住宅に比べ補強していること,カーテンレールを2重としていること,各戸にエアコンを1台設置。降雪時の除雪対策から,住棟間隔は通常より広く6m巾としていること,入居時期は降雪前に入居出来るよう建設を急いでいることなど(早いところで11月下旬から遅くとも12月中旬までの入居を予定している)。
11月11日現在の仮設住宅建設戸数(市町村別小計)
長岡市   918戸
山古志村  634戸(建設場所は長岡市内)
見附市   103戸
栃尾市   105戸
小千谷市  798戸
越路町   124戸
川口町   605戸
旧広神村   30戸
十日町市  196戸
川西町    15戸
柏崎市    44戸
小国町   120戸
刈羽村    40戸
合計   3,732戸
尚,11月14日9:00現在の避難者数は11,833名となっている。

県庁でのヒアリングのあと関越自動車道で長岡市へ向かった。
途中,高速から見える上越新幹線は余震の関係からか三条市までの間,1列車も走っていなかった。
長岡市では最初に市役所の建築住宅課に行き,仮設住宅建設地について資料を入手したあと,今回の仮設住宅建設では最大戸数(操車場跡地B地区・C地区合計459戸)となる建設現場へ向かった。

▲長岡市応急仮設住宅建設現場 看板

地震発生後2週間を経た建設現場では,急ピッチで応急仮設住宅の建設が進められつつあった。相当数のユニットがすでにセッティングされ,一部では内装工事が始まっていた。
他の市町村における建設現場では,地震直後に避難場所となっていた場所や,救助活動の基地となっていたなど地区の事情によって,着工時期にはかなりのズレがある。用地の選定・整地に要した時間,建設資材の搬入についても地区によって異なる。
各地における建設の進捗度は上述のように着工した時期にバラツキがあるため,整地の途中段階の現場や,基礎に用いる杭うちの段階のものから,かなりの戸数の組立てが終わり,内装工事に着手している現場までさまざまであった。

▲建設が急ピッチで行われている応急仮設住宅建設現場

住宅の規格は次の3種類である。(11/7長岡市都市整備部建築住宅課配布資料による)
単身者用       19.8m2( 6坪相当・1DK)
小家族用(2・3人用) 29.7m2( 6坪相当・2DK)
大家族用(4・5人用) 39.6m2(12坪相当・3K)
(6人以上の大家族の場合は上記の組合せとなる)

仮設住宅の構成
地区ごとにプレハブメーカーが割当てられている。メーカーによってユニットの構成内容に若干の違いはあるが,ユニットは鉄骨フレームに屋根(金属折板)・壁パネル・床パネルで構成されている。開口部は全て共通して単板ガラス入のアルミサッシである。

▲応急仮設住宅

断熱材について
パネル形式の違いによって断熱材の種類及び厚さに変化が見られる。
天井:GW50+50mm
壁 :GW50     (発泡ウレタンの場合t=35)
床 :GW50     (発泡ウレタンの場合t=35)
 GWは10kg/m2もの
ユニットを構成する主要構造部は全て鉄骨であり,開口部は単板ガラスであるため,これからの厳冬期には室内における柱周りや開口部での結露が心配される。

▲応急仮設住宅とサッシ


▲断熱材 10K


▲応急仮設住宅内部

応急仮設住宅について(応急仮設住宅入居申込についてより抜粋)
入居できる者
今回の地震で居住する住家に災害を受け,住宅の再建までの期間中,住宅を確保することの出来ない方が対象。
入居期間
仮設住宅完成後2年間を限度とする。2年以内に新しい住居を確保。
入居に係る費用
家賃は無料,電気・電話・ガス・水道料金・除雪費用などは入居者の負担。エアコンは1台のみ設置。その他の家具や洗濯機,冷蔵庫等は入居者で用意。
となっている。

地震発生直後の避難者数は10月26日に最高10万人以上を記録し,その後徐々に減少しつつも11月14日現在の避難者数は約12,000人余りである。余震が続いているため,テントで暮らしている人や,自動車の中で避難生活を送っている人もまだまだ大勢いる状況である。仮設住宅の一日も早い完成が俟たれる。

今回は主に長岡市,小千谷市,川口町における仮設住宅の現場を調査した。道中,災害復旧・救援活動を行なう大勢の人たちの姿に出会った。ライフラインの復旧に携わる電気・ガス・上下水道の調査を行なう人々,炊き出しの支援に汗する人々などなど。
自動車の移動では,いたるところで道路の路肩が崩壊している箇所を通過した。橋の端部と道路の接点は応急処置で段差を解消したところや,亀裂が入ったままの道路も。
被害の大きかった地域では,応急危険度判定による「危険」「要注意」「調査済」の3種類のシートが張られた家屋を数多くみた。すでに一部では解体撤去が始まっていたが,倒壊したままの状態で手つかずの家屋もある。
余震が続いているため,被害の大きかった家屋では片付けが思うように行かない状態が続いている。電気・ガス・水道が未復旧のため,店舗・商店なども休業を余儀なくされている地区もある。復旧までは,まだまだ時間が掛かる状況である。

▲被災地写真


▲被災地写真


▲被災地写真

8日・9日にも深夜余震があり,おもわず起き上がりすかさずテレビをつけることもあった。被災地で暮らす人たちは毎日発生する余震のため,ごく僅かな振動に対しても非常に敏感になっており,精神的なストレスも大変大きいと思われる。

各方面で阪神・淡路大地震での教訓を活かした対策が嵩じられている。集落(コミュニティー)単位での仮設住宅の入居もそのひとつである。とはいえ不便な生活を余儀なくされる被災した方たちが健康を損なわないためにも,入居する仮設住宅がより快適であることを願わずにいられない。




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