先日開催した外断熱推進会議主催「第四回外断熱技術セミナー」の模様をご紹介。

  外断熱マンションでの夏の暮らし方
 2004年4月28日に、外断熱推進会議主催の「第五回外断熱技術セミナー」が、外断熱推進会議事務所のある機械振興会館において開催されました。
 セミナーは、「外断熱マンションの夏対策〜除湿と夏の暮らし」を主要なテーマとして開催されました。
 講師として登場した、三建設備工業(株)技術本部の本郷さんより都内に建てられた11階建外断熱マンションを想定モデルとして、「外断熱マンションの除湿空調〜計画換気とリキッドデシカント」について講演が行われました。
 外断熱マンションにおいては、夏期の内部発熱が室温を上昇させるため、夜間の外気導入と除湿について勉強しました。

パネルディスカッション〜外断熱マンションで暮らす
司会
 ・・・ 堀内正純(外断熱推進会議)
パネリスト
 ・・・ 岡崎俊春(外断熱賃貸マンションオーナー)
 ・・・ 横山智子(外断熱マンション住人)
 ・・・ 中野誠司(康和地所CS推進室)

司会 堀内
 外断熱の特徴として省エネ・健康・高耐久そして快適性があげられますが、今日は、1995年に習志野に外断熱の賃貸マンションを建てられ、オーナーとしてまた住人として暮らしている岡崎さん、一昨年、首都圏ではじめて分譲された本格的外断熱マンションで1年間暮らし、自身のホームページでも情報発信している横山さん、志願して外断熱マンション住人の相談窓口(CS推進室)として飛び回っている康和地所(株)の中野さんにお集まりいただきました。
 今日は、外断熱マンションにおける冬と夏の快適性についてお話をお聞きしたいと思います。自身のホームページの「快適比較」の中で内断熱と外断熱のことを書いている横山さんにそのあたりをお聞きします。

横山さん
 入居前は、外断熱マンションは「建物が長持ちする」、それが一番と考えていましたが、入居してみて「快適なこと」に驚きました。これまでのマンションが軽自動車であれば、外断熱マンションはプリウスぐらいの違いがあるのではと思っています。冬に驚いたのは、以前はいる部屋だけ暖房して、それでもセーターを着て、我慢して暮らしていたのですが、いまのマンションでは、暖房費は以前と変わらないのにどの部屋にいても暖かく快適です。我慢する必要がありません。また、以前のマンションではトイレやお風呂が寒かった(お年寄りにとっては命に関わることと思う)のですが、いまでは部屋と変わらない温度で快適です。夏は、以前のマンションではクーラーを入れると寒いのですが、クーラーを止めて寝ると汗だくで起きてしまう。そこで窓を開けて寝ると朝方に温度が下がって風邪をひくことがありました。今のマンションでは、昨年は夏に気温が上がらなかったこともありましたが、クーラーをつけずに良く眠れました。

司会 堀内
 次にお話しをしていただく康和地所(株)の中野さんは、外断熱マンションの顧客担当を志願し、CS推進室で外断熱マンションの住人と日々向かい合っています。外断熱マンションの実態についてお話下さい。

中野さん
 これまでは、住宅産業はクレーム産業と言われいましたが、外断熱マンションの入居者が協力的であることに驚いています。外断熱マンションの入居者は、「こういう発見があったよ!こうしたら良いよ!」とアドバイスしてくれます。外断熱マンションの特徴として、部屋の温度差が無いだけでなく、時間軸(一日を通して)でも温度の変化が少ないことが上げられます。夜、冷房を止めて寝ても室温が上がり眠れないことはなく、快適であるという話はよく聞きます。昨年の秋と今年の春に「夏の住まい方をみんなで勉強する会」を開きました。そのときのアンケートでは、「寝る前に1時間程度冷房をつけています。以前のマンションの冷房温度は26℃でしたが、今は27℃〜28℃でも十分です。」「30℃でも十分です。」という方もいました。昨年の夏、一切冷房を使用しなかつた方もいます。その方は、換気が必要と考え、夜に外気を出来る限り取り入れたそうです。その結果、昨年8月の室温が昼間を含めて30℃を超えた日は無かったそうです。
 外断熱マンションのクレームについて、「何か無いか」と言われても、あまり無いのが現実です。あえて言えば、住人が温度に敏感になって、エントランスホールのミニクリプトン電球を指差して、「これ温度が熱いんだよ。」と言うようになりました。あまりにも温度差がないので、ちょっとした小さなクリプトン電球の温度に気づいたり、お風呂の追い炊きの配管が床下のどこを走っているのか言い当てたりします。

司会 堀内
 住宅産業はクレーム産業といわれていますが、外断熱マンションでは結露や汚れも少ないと聞きます。そこで、10年ほど前に外断熱賃貸マンションを建てられたラクール習志野のオーナーの岡崎さんからお話をお聞きしたいと思います。岡崎さんのマンションは、10年間ほぼ満室状態と聞いています。

岡崎さん
 ラクール習志野は1995年に建てましたが、壁も基礎もXPS50ミリで外断熱しています。窓はアルミサッシですが、ペア硝子になっています。輻射パネルにより、冬は暖房、夏は除湿冷房を行っています。室温はほぼ一定で、暖房であれば20℃〜22℃ぐらい、冷房であれば25℃〜27℃ぐらいゆっくりと変化しています。冬にボイラーが故障で40時間ぐらい停止しました。最初は気が付かなかったのですが、修復まで40時間かかったにも関わらず、1階の部屋で温度低下は1.8℃でした。入居者は、誰もボイラーの故障に気付かなかったと思います。外断熱とは、そのような建物なのです。10年間のデータを見ると、冬は20℃に、夏は27℃になるように設定しており、中間期は冷暖房を使わなくても必要な温度を保っています。
 冬の結露問題は壁については全く問題なく,開口部はサッシの性能で決まります。外壁外部の夏型結露問題は,ラクールの例ではXPSを使うことで解消していると思います。

司会 堀内
 夏の暮らし方についてですが、先ほど中野さんより外気を導入することで冷房を使わない生活をしているとの話をお聞きしましたが、もう少し詳しくお話しを聞かせてください。

中野さん
 外断熱マンションであれば全く冷房を必要としないと言うのは、極端な話で、無理をしているなと感じています。冷房を使わなかった人の部屋は北西の角部屋で西からの光は入ります。ただ、意識の高い人で、昼間は必ずカーテンをし、夜帰宅後は必ず窓を開けて熱を出します。寝る前にも窓を開け換気し、朝も6時頃には起きて8時頃まで窓を開けています。このことを繰り返してきたと聞いています。

司会 堀内
 外断熱マンションの理想的なありかたについて何か?

岡崎さん
 つい最近の日本経済新聞に「食べられる緑の日除け」と言う記事がありました。ゴーヤを簾の代わりに使ったと言う話ですが、外断熱マンションでは日射を遮ることが重要になります。外断熱のマンションに既にお住まいの方には、食べられる日除けをお勧めします。
 ラクール習志野では、冷暖房設備が最初から付いており、冷暖房費は共益費に含まれています。冬は20℃、夏は27℃の室温が維持されて冷暖房費は月額3,000円程度で済みます。外断熱のマンションでは、このようにセントラルの冷暖房も、環境インフラとして馴染むものとなっています。冷暖房が常備のホテルのような賃貸マンションの提供が可能となる訳です。

司会 堀内
 岡崎さん、横山さん、中野さん、ありがとうございます。これからも、外断熱の建物に住んでいる人の情報や外断熱マンションを手掛けている方々の情報を発信してまいります。

(2004年4月28日 特定非営利活動法人外断熱推進会議主催 「第四回外断熱技術セミナー」より)


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