国会で外断熱に関する議論が繰り広げられています。
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Vol.012 2002年11月12日 衆議院国土交通委員会
民主党・無所属クラブ、井上 和雄 委員

  2002年11月12日 衆議院国土交通委員会
  井上和雄委員 おはようございます。民主党の井上和雄でございます。
 通常国会では何回か大臣に質問させていただきましたけれども、また今国会でも、ぜひよろしくお願いいたします。
 本日は、建物の区分所有等に関する法律及びマンションの建替え円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案について質問させていただきます。国土交通省並びに法務省にお願いいたします。
 四月の通常国会において、本委員会におきまして、マンションの建替えの円滑化法を審議いたしました。その際、区分所有法の建てかえ決議の要件に関して法制審議会で検討中であったということです。したがって、その当時出ていました中間試案というものがありました。その中間試案というのは、例えば、要件としては、マンションの築後三十年とか四十年とか、そういうものがございました。それに基づいて議論をするという、ちょっと議論自体が中途半端な感じの審議で終わったということがあります。
 そういった意味で、やっと法制審議会でも結論が出て、こういう法案が出てきたということで、待ちに待った結論じゃないかと私は思っておりまして、きょうはゆっくりその件に関して議論させていただきたいと思います。  ちょっと、きのうの質問通告と順番を変えまして、まずこの区分所有法の第六十二条の方、つまり建てかえ決議の要件に関して先に議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 ちょっと復習をさせていただきますけれども、中間試案が出たときには、この建てかえ決議の要件、老朽化の場合と、損傷または一部滅失その他の場合というふうに分けてありました。
 老朽化の場合には、甲案、乙案がある。甲案というのが、「建物が新築された日から〔三十年〕〔四十年〕を経過したとき。」乙案というものは、「建物が新築された日から〔三十年〕〔四十年〕を経過したとき。ただし、一定期間の経過ごとに行う修繕の計画及びそれに要する費用として修繕積立金を積み立てておくことをあらかじめ集会で決議し、又は規約で定めていた場合であって、区分所有者に新たに費用の負担を求めることなく当該計画に基づく修繕を行うことができるときを除く。」要するに、修繕の費用をしっかり積み立てていない場合だということだと思うんですね。
 また、損傷、一部滅失の場合の甲案は、「建物の効用の維持又は回復をするのに、現在の建物の価額を超える費用を要するに至ったとき。」乙案が、「現在の建物と同等の建物の建築に要する費用の二分の一を超える費用を要するに至ったとき。」と、割と詳しくあったわけですね。
 それが、最後に出てきたのを見ますと、何か非常に簡潔になって、こういった要件が全部消えて、つまりは、五分の四賛成ができれば決議できるというふうになってしまったわけですね。何でこういうふうになってきたのかということをちょっと法務省の方から御説明していただきたいんです。
  房村政府参考人

 お答え申し上げます。
 現行法の六十二条では、建てかえ決議の要件といたしまして、「老朽、損傷、一部の滅失その他の事由により、建物の価額その他の事情に照らし、建物がその効用を維持し、又は回復するのに過分の費用を要するに至つたとき」、そういうときに五分の四の多数決で建てかえ決議ができるというぐあいになっております。
 ただ、現実に、ただいま読み上げましたのをお聞きいただいてもわかりますように、なかなかこの過分の費用というのがわかりにくい、そういう指摘がございました。現実に建てかえをするときに、五分の四の多数で決議が成立した後に、反対派の人たちが、この過分の費用の要件を満たしていないということで訴訟を起こすというような事例もございました。そういうことから、区分所有建物の建てかえを円滑に行うためには、この過分の費用の要件が非常に妨げになっている、これを見直すべきである、こういう御指摘を受けたわけであります。そういうことで、法制審議会でも当初から、この過分の費用要件をどういうぐあいにするかということを検討したわけでございます。
 その中で幾つか議論がございまして、中間試案の段階では、この過分の費用要件をできるだけ明確なものにしよう、こういうことで、過分の費用を要するに至る場合というのは、一般的に言えば、建物が老朽化していく、それに伴って建物の価額は下がるのに、維持補修に要する費用は次第に膨らんでいく、こういうことであろうと。したがって、客観的な要件として建築後三十年あるいは四十年というような年数を決めれば、ある程度、過分の費用を要する場合を含みつつ、しかも明確な基準になるのではないか、こういうことが考えられました。そのことから、甲案として、新築された日から三十年あるいは四十年を経過したときと、この年数を経過すれば、後は五分の四の多数決で決めることができますよと、こういう案を考えたわけでございます。
 これに対しまして、単に年数だけでいいのか、マンションによっては維持管理の程度が大分違うのではないか、非常に手入れがいいマンションと相当傷んでしまったマンションを同一に扱っていいのか。そういう意味でいいますと、ここに書きましたように、きちんと修繕の計画を立てて修繕積立金も積み立てている、こういうようなマンションであれば当然維持すべきではないか。そういうことから、このような修繕をきちんと決めているものは除く、三十年、四十年たっていても、そういう修繕計画等を立ててきちんとしているものは除く、こういうことで乙案というものが考えられたわけでございます。
 また、甲案、乙案とは書いてございませんが、当初から、そもそも五分の四という圧倒的多数を要する建てかえ決議であれば、この客観要件というものはなくても十分合理性は担保できるのではないかということから、この客観要件を不要とするという考え方もございました。これは注等に示しているところでございます。
 以上のようなことで、この客観要件については甲案、乙案を示したわけでございます。
 しかし、三十年という年数というのは、非常に明確ではありますが、しかし、三十年たたない間に損傷した場合をどうするのかということが当然問題になるわけでございます。二十年しかたっていないけれども事故等で損傷してしまった、その場合に建てかえが一切できないということでは不都合であろう、こういうことから、損傷、一部の滅失の場合についての基準をあわせて設ける必要があるということで、このイの「損傷、一部の滅失その他の場合」の甲案、乙案というものが出てきました。
 この場合の考え方は現行法の考え方をほぼ維持しておりまして、過分の費用を要するというのをもう少し明確にしようということで、現在の建物の価額と維持補修するのにかかる費用が同じだ、実際の価額と同じぐらいの費用をかけないと補修できないというようなものであれば建てかえた方がいいのではないか、これが甲案の考え方でございます。乙案の方は、そういう現在の建物と同等のものを新築するということを考えた場合の費用の半分程度、維持または回復にかかるだろうという場合は過分の費用だと。
 こういう具体的な姿をお示ししてパブリックコメントをしたわけでございますが、これについていろいろな御意見をいただきました。年数は非常に明確であるという御意見もいただきましたが、同時に、マンションについてはそれぞれ建物ごとに個性があり、維持管理の仕方も違う、年数で一律に切るということに合理性があるのかという御指摘もいただきましたし、老朽化の場合の乙案については、きちんと手入れをしているとおよそ建てかえができないということでは手入れをする意欲をそぐのではないかというような御批判もいただきました。また、損傷、一部の滅失の場合の基準につきましては、年数でやればそういうものが必要になることはわかるけれども、結局、そういう基準をつくると、現行の過分の費用と同じ、不明確であるという問題が生ずるのではないか、こういうような御指摘も受けたところでございます。
 部会でいろいろ議論をいたしまして、そのような問題がいろいろあるのは、やはり客観要件を要求するからではないか、区分所有というのは一つの建物を複数の人たちが共有する状態であるから、一種の運命共同体として団体的な制約をこうむるのはやむを得ないのではないか、そういうことから、建てかえの手続を整備すれば五分の四の多数だけでも建てかえを認めてよいのではないかという意見も非常に強く主張されました。
 特に、政府の規制改革会議等でもそのような考え方が示されたということもありまして、最終的に、部会でその二つの意見が相拮抗いたしまして、部会としてはどちらとも決めかねるということから、三十年の年数要件を付するという案と五分の四だけの多数決でできるという案を、いわば並列した形で部会の案を取りまとめたわけでございます。
 それが法制審の総会にかけられまして、総会の委員の方々が、やはり審議会として法務大臣に答申する以上、できる限り一本化すべきであるということで、総会の場で委員の方々非常に熱心に御議論いただきまして、やはり、さまざまな建物がある中で、三十年という一律の要件を課するということには合理性がないのではないか、また、区分建物のそういう団体的制約を考えれば、そのようなものを五分の四で決めるということでもやむを得ないのではないかという御意見が非常に強くて、最終的に法制審議会総会の答申としては、五分の四の多数決のみで建てかえを可能にする、こういう結論に達したということでございます。
 いささか長うございました。

  井上和雄委員  この、マンションを建てかえるか建てかえないかということで私は思うんですけれども、や はり、なるべく建てかえない方がいいと思うんですよ。つまり、直せればあるものを使うというのがやはり二十一世紀の考え方じゃないかなというふうに思うんですね。
 そういう意味で、中間試案の出ていたときの特に損傷の方で、例えば、建て直すのにそんなに費用がかかるならこれはもう建てかえましょう、これはもうしようがないと、ほとんどの人が、直すより、建てかえざるを得ないからやる。つまり、費用の面でも、直すより建てかえた方がいろいろな面から経済効率がいいということで、建てかえるということが結局決まるんじゃないかと思うんですね。
 そういった意味で、私は、やはり、初めに建てかえありきじゃなくて、しっかり修繕積立金を積んで、修繕計画をつくる、そして最終的に、修繕と建てかえの費用を両方きちっと客観的に比べた上で建てかえ決議をするというのが道筋じゃないかなというふうに思っています。
 今回の法案で、そういった建てかえ決議の手続の点も述べてあるんですけれども、ちょっとこれは質問通告していないんですが、修繕の費用に関しては明示しなきゃいけないんですよね。これは、建てかえの費用もちゃんと明示して比べるということになっているんでしょうか。法務省、お願いします。
  房村政府参考人  御指摘のとおり、建てかえ決議について集会を開く場合には、その目的となっている事案の 要領を通告することになっておりますが、これは建てかえの内容ということになりますので、どのような建物を建てかえる、そして、それにどのような費用がかかるということはもちろん集会の参加者にはあらかじめ通知をする。それと、まさに今御指摘のありましたように、比較する対象として、建物を維持あるいは復旧するとした場合どのくらいの費用がかかるということもあわせて通知をする。そして、そのようなものを踏まえて、集会の一カ月前以上に説明会を開いて十分理解をしていただく。それを踏まえて、住民の方々が十分御議論を尽くして合理的な判断をしていただく。こういうことを考えております。
  井上和雄委員 例えば、こういう決議の場合、一番もめるのは、私が思うに、建てかえコスト、または修繕 コストというものが本当に客観性を持ったものなのか、恣意的につくられた数字じゃないのかとか、やはりその辺の客観性というのが一番大事だと思うんですね。何かマンション建てかえに絡んで、その費用の数字が正しいか正しくないかということで最高裁まで行ったというケースもあると聞いています。では、その客観性というのは、どうやって担保できるんでしょうか。
法務省にお伺いします。
  房村政府参考人  御指摘のように、訴訟になった事案を見ますと、建てかえる費用あるいは維持復旧をする費 用、これの見積もりについて当事者間で相当激しく争われております。そういう意味では、御指摘のように、第三者的なところで何らかの客観的な数字が示されれば、そういう建てかえを検討する人たちにとって非常に有用であろうということは私どもも考えておりますが、そういう意味では、何らかのそういった仕組みができれば、今後、建てかえについては非常に円滑に進むのではないかというぐあいに考えているところでございます。
  井上(和)委員  その仕組みは、法務省でつくってもらえるんですか。
  房村政府参考人  そういう点では、まさに、建てかえの指針とか、どのような費用がかかるかという非常に専 門的知識を要する事柄だろうと思いますが、私どもは、区分所有の法律的な側面は私どもの所管でございますし、それなりのスタッフもおりますが、あいにく、具体的にその費用がどうなるというようなことについては全く能力がないものですから、法務省ではなかなか難しいのではないかと思っているところでございます。
  井上(和)委員  それでは、もう大臣の出番だと思うので、お伺いしたいんですけれども。  前回の円滑化法の審議のときに、当時、たしか佐藤副大臣だったんですけれども、恐らくこれは国土交通省の考えだと思うんですが、例えば佐藤副大臣がこうおっしゃっているんですね。「建てかえの合意形成には一定の年数を必要とする、そんなことを考えますと、築後年数としては三十年を採用することが適当であると私どもは考えております。」と。三沢局長も、「まず一つは、建築後年数というのを客観的に定めていただくということが非常に重要だと思っておりますが、その中で、では建築後年数としてどういう数字がいいのかということでございます。」こういう答弁をされているんで すね。だから、かなりこの客観的な要件というのにこだわっていたというわけです。ただ、最終的に こういう結果になったということで。
  今も、では客観的な見積もりをどうやって担保するかという話も出ましたけれども、大臣、もとも とは国土交通省は築年数という客観的な要件にかなりこだわっていたのが、最終的にこういうことに なったということで、どういうふうにお考えになったのか、それから、さっきの法務省の答弁に関し てどういうお考えがあるのか、ちょっと聞かせていただけますか。
  松野政府参考人  お答えいたします。  国土交通省では、マンションの建てかえの円滑化のためには、紛争の種となるような不明確な要 は極力なくすべきであると考えておりました。
 前国会のマンション建替え円滑化法の審議の際には、法制審議会の中間試案で、先ほど御説明が民事局長からございましたが、老朽化の場合の建てかえ決議の要件として、建築後経過年数のみを客観要件とする案も一つの案として示されたことがございます。現行の、費用の過分性という、大変不明確だというふうに指摘された要件に比べて、国民にわかりやすく明快であるとして一定の評価を行ったものでございますが、先ほど民事局長が御説明になったとおりの議論の経過があったと承知しております。
 今回の区分所有法の改正案では、さらに、五分の四という多数決という要件一本に明確化するとい うことでございまして、さらに明確化されるということで合理的なものになったというふうに考えておりまして、マンションの建てかえの円滑化に資するものと評価しているところでございます。
  井上(和)委員  では大臣、さっきの法務省の、要するに、そういう入札の見積もりが客観的かどうかということを担保するにはやはり制度が必要なんじゃないかということに関して、ちょっと御感想でも何でも結構ですが、いかがでしょう。
  扇国務大臣  さきの通常国会でさんざん皆さん方に御論議をいただき、また御意見もいただいて、あらゆる面 で私たちは法制審の答申等を待っておりましたけれども、やっとこういうふうに法務省が決断をしてくださいまして、意見としては、三十年にするのか、あるいは五分の四にするのか、いろいろあるというのは、今局長からお話しになったような事態ですけれども。
 私たちは、より多くの皆さん方が、今井上議員がおっしゃったように、本来は、建て直さないで、メンテナンスをよくして、できる限りあるものを上手に使え、もうおっしゃるとおりなんですね。ですから、私は、基本的にはそういう気持ちはもちろんありますし、多くの居住者の皆さん方も、やはり住めば都ということで、なれているところで、補修しながら、あるいはできる限り積立金を積んで、うまくいくのであれば、一年でも長く使いたいと。私は、当然の御希望であろうと思っております。
 やはり、今後、多くのマンションが建てかえ時期に来ているということを考えれば、きちんと今回法務省が出してくださったことで、初めて円滑化法というものの、両輪が整ったということでございますので、個々の事例ではまだいろいろな御意見があろうと思いますけれども、一応私はマンションの建替え円滑化法というものの、両輪がそろったと思っておりますので、皆さんにできるだけ親切にこのことを周知徹底していきたいと思っております。
  井上(和)委員  両輪が出たんですけれども、まだかなり穴だらけだということを当委員会においても御指摘 させていただきたいと思っているんですね。
 現実的に、例えば五分の四の賛成を得て建てかえ決議ができるかどうかというのは、かなり難しいのじゃないかなというふうにも私は思っています。だから、では建てかえができないならどうするかというと、これはもう補修ということになるわけですね。
 今回の区分所有等に関する法案では、第十七条ですか、共用部分の変更については、「その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。」これは非常に法文がややこしいんですね。二重否定になっているんですけれども、なるべく二重否定を使わないで法文を書いていただく方が非常に易しいと思うんですけれども。つまりは、大規模な、本当に形状が変わるもの以外は二分の一の単純過半数で決めましょうということですよね。
 では、その「形状又は効用の著しい変更」というものはどういう定義なのかというのは、これはやはりはっきりさせておかなきゃいけないと思うので、ちょっとそこを説明してください。
  房村政府参考人  御承知のとおり、共有部分というものにつきましては、廊下、階段等、区分所有者全員が共 用にする部分ということが念頭に置かれておりますが、それを変更する場合に、形状または効用を著しく変更する場合に限って四分の三の多数を要求する、それ以外の軽易な場合には過半数で足りるということが今回の内容でございます。
 形状の変更あるいは効用の変更、その著しいものというのは具体的にどんなものかということでございますが、典型例としては、階段室を例えばエレベーター室に変える、これは形状の著しい変更ということになろうかと思います。また、共用部分としての例えば集会室、これを変更いたしまして賃貸店舗にしてしまうというようなことであれば、これは、形状の変更も伴うかもしれませんが、効用として著しい変更があったということになろうかと思います。
 このような著しい変更を要件といたしましたのは、従来の解釈といたしまして、定期的に必要となる大規模修繕、これについて相当の費用を要するものですから、これについては四分の三の決議が必要であるというぐあいに一般に解されていた、それが定期的な修繕を実施する上で非常に妨げとなっている、この定期的修繕を行わなければマンションとしての価値を維持できない、こういうことから、大規模修繕をやりやすくしてほしいという要望が非常に強うございましたので、それを除く趣旨で「形状又は効用の著しい変更」ということを要件としたものでございます。
 したがって、通常の効用を維持するためのいろいろな修繕等は、これには入らないというぐあいに考えているところでございます。
  井上(和)委員  つまり、一般的に考えているマンションの大規模修繕、外壁を直したり屋根を直したり、そ ういうものに関しては二分の一で決められるということですね。
 そこで、国土交通省にお伺いしたいんですが、そういった大規模修繕というのは、つまりは、単純過半数で決議できる大規模修繕というものは、どういうものがあって、具体的にどの程度の費用が一棟当たりかかっているかというのをちょっと教えていただけますでしょうか。
  松野政府参考人  お答えいたします。
 大規模修繕は、区分所有法には具体的な表現は定められてはおりませんが、中高層共同住宅標準管理規約におきましては、一定年数の経過ごとに計画的に実施される修繕として、具体的に、代表例として、外壁の塗装工事、屋上防水工事、給排水管工事などとされております。
 マンション管理センターでモデル計算をしておりますが、平均的な姿として、新築の鉄筋コンクリート造八階建て七十五戸のマンションをモデルとして計算いたしますと、一戸当たりの修繕費用は、外壁塗装工事が約五十七万円、屋上防水工事が約十三万円、給排水管工事が約五十万円、これは、全部やりますと戸当たり大体百万円ちょうどかかるというような、そんな感じでございます。
  井上(和)委員  先ほど、建てかえ修繕の見積もりの話が出て、見積もりというのはなかなか客観的なものは 難しいんだという話をさせていただきましたけれども、この数字も僕はかなりあいまいだと思います。もちろん、マンションもいろいろな形状があるし、築年数なんかにもよりますけれども、現実にはかなりかかっているということを私は聞いております。
 現実に、修繕積立金というのを積み立てていて、大体こういう大規模な修繕、つまり、今おっしゃったような大規模な修繕というのは、修繕積立金の範囲でできるんですか。そしてまた、現在、一般的に修繕積立金というのは、建物の大きさなんかで違ってはいるでしょうけれども、どの程度各マンション積み立てられているのか、もし数字があれば教えてください。
  松野政府参考人  お答えいたします。
 先ほど申し上げましたような平均像としてモデル計算がございますが、八階建て七十五戸のマンションをモデルとして積算いたしますと、全体では修繕費用が二億三千六百万円ぐらいになるだろうということでございますが、修繕の積立金が、平均しますと、実態としては一億五千百万円ということでございます。平均的には、一管理組合当たり八千五百万円ぐらい、戸当たりに直しますと不足額は約百十三万円程度になるということで、現在の修繕積立金が必ずしも十分であるとは言えないという状況ではないかと思います。
  このために、マンション管理適正化指針というものを定めておりますが、その中でも、長期修繕計 画をしかるべく適正に策定すること、あるいは現在のものを見直していただくということが必要なの ではないかということをうたっているところでございます。
  井上(和)委員  つまり、恐らく最低だと思うんですよね、百万円以上かかるということですよね。そして、 それは修繕積立金では賄えないから別途払わなきゃいかぬということだと思います。では、払えない人はどうするかという問題が当然出てくると思いますね。
 例えば、最近、マンションを買って賃貸に出している人も多いと思います、特に投資目的なんかで。一つの例として、壁が古くなった、外観をちょっときれいにしなきゃいけない、賃貸にするにはきれいにしなきゃ借りる人はいないし、家賃も下がる。ところが、同じマンションに住んでいる高齢者の人は、自分が住んでいるんだから多少汚くたって関係ない、あと十年で死んじゃうんだから、別に古いままでいいよというふうに思うかもしれない。
 ただ、要するに、今回の法律によると、二分の一以上、過半数賛成すれば修繕をするということになるわけですね。
 例えば、これは仮説ですけれども、四十人住んでいるマンションで、高齢者が十九人で、賃貸に出している人が二十一人いて、やはりどうしてもきれいにしなきゃいけないというので、二十一人が賛成して、外壁修理をやろうと。外壁修理というのは約六十万ぐらいですね、恐らくこれは最低だと思うんだけれども。では、年金で、今厚生年金は恐らく二人合わせて月々十五万円ぐらいで、細々生きている方に急に六十万円出せと。当然、払えませんということになる。払わない人はどうなるんですか、修繕決議がされた場合。払えない人に対してどういう取り扱いになるんでしょうか。
  房村政府参考人  修繕決議がなされて、その修繕にかかる費用が決まりますと、これは管理に関する費用とい うことになりますので、マンションの通常の管理費と同じように、区分所有者全員がその持ち分割合に応じて負担するということになります。したがいまして、区分所有者それぞれ支払い義務が生じますので、これを履行しない場合には、民事上の問題としては、裁判上の請求、あるいは強制執行するということになろうかと思います。
  井上(和)委員  その後どうなるんですか。詳しく説明してください。
  房村政府参考人  その後といいますか、ほかに財産がなければ、最終的には、例えば区分所有権を競売にし て、その競売代金の中から払っていただくということになる可能性はございます。
  井上(和)委員  つまり、修繕決議が過半数でされて、百万円ぐらいの場合もあるでしょうが、払えなかった らマンションを競売にかけられてしまうということですね。そういうことですね。もう一回言ってください。
  房村政府参考人  これは、基本的に、管理費等でも同じでございますが、区分所有者が負っている債務を支払 えない場合に最終的に持っているものが競売にかけられるということは、これは修繕費もそうですし、管理費もそうですし、あるいは他の人に債務を売った場合もそうですが、これは、民法の一般原則というか、民事の一般的な考え方としてそうなるということでございます。
  井上(和)委員  前回の法案、マンションの建替えの円滑化法案のときには、居住安定ということが大分議論 されました。議論の中心は、マンションを建てかえする場合に、要するに反対、つまりお金がないので建てかえに参加できない人をどうするか、これは最も大事な問題だと思います。つまり、こういう大規模修繕にもそういうことが起こり得るんだと私は思うんです。だから、やはり何かの手当てをしなきゃいけないというふうに思うんですけれども、この件に関して国土交通省はどう考えているのか、御答弁をお願いします。
  扇国務大臣  マンションでも一戸建てでも、要するに、古くなるというのは、条件は同じでございます。た  だ、マンションの場合は、共用という、共同住宅ですから、そういう意味では、きょうも御論議いただいていますように、前回の通常国会で御論議いただきましたように、大変多くの皆さん方の御賛同を得るということが難しい部分も御論議をいただきました。
 今、それぞれお話が出ましたように、どこを修理するためには幾ら、どこを修理するためには幾らと局長がさっき申しました。大体百十万ぐらいから百二十万ぐらいかかるではないかという案が出ておりますけれども、私は、大規模になりますと転出を余儀なくされるということもあり得ると思うんですね。ですから、井上議員はその辺を御懸念なさっていらっしゃって、前の円滑化法のときにも、そのときには何らかの手当てが必要ではないかということを私申し上げましたけれども、マンションの権利を買うということも、これはあろうと思います。
 それから、今法務省からお話ございましたけれども、もしもだめなときには、住まいの権利は持っているけれども、必ずマンションには共用部分、百分の何%か千分の何%という共用部分の所有権がございます、その部分を競売にかけるというふうにさっきおっしゃったので、払えない人は出ていけということではなくて、共用部分、廊下とか階段とかの、何千分の一とか千分の一とか百分の一という部分だけを競売にかけるという意味が、今おっしゃったことでございます。  私は、むしろ、今大規模でどうしても出ていかなきゃいけないようなことがあるのかどうかということですから、この間も円滑化法の御論議のときに申し上げましたけれども、マンションの管理の適正化に関する指針というのをつくっておりますから、そのときには、消費者そのもののマンションの購入はしないということですけれども、御指摘のように、起こってはいけない実態として、今段階では発生しておりませんけれども、そういうものがあったときには、一戸当たりの不足分というのは、今申しましたように、百十万から百二十万、いわゆる百万前後でございますから、それぞれ無担保で融資を受けることができる、そういう手だてをすることが必要だし、マンションの共用部分のリフォームの融資、そういうものを私たちは十分に対応してこれが可能とし、また、国としてもその制度を積極的に支援していくということで皆さん方に不安を与えないようにしようという、前回から御論議いただいていますし、今もその考え方に変わりはございません。
  井上(和)委員  私は、実は法律の専門家じゃないものですから法律のことはよくわからないので、もう一回 民事局長に御答弁いただきたいんですが、払えない方の場合は、今大臣がおっしゃるように、共用部分だけを競売にかけるということでよろしいんですか。自分の住んでいるところを競売にかけられるということはないんですか。
  房村政府参考人  あるいは私の説明の仕方がちょっと悪くて大臣に誤解を招いたのかもしれませんが、競売に  かける場合には、専有部分、共用部分含めて一緒に競売にかけるということでございます。どうも私の説明の仕方が不十分だったようで……。
  井上(和)委員  いや、この件に関しては質問通告していないので。別に大臣も、法律の専門家じゃないです から、弁護士じゃないですから。
 つまり、そういう問題がある。現実に、今大臣がおっしゃったような、お金を貸すとか、例えば八十歳の人に、お金を貸しますから、百万円貸しますから修繕してくださいといったって、それはやはり無理ですよ。だからそれは、融資をして、亡くなったらその建物をもらうとか、何かリバースモーゲージみたいなものを考えていかないと、やはり大規模修理というものは進んでいかないと思うわけです。
 実は、日本のマンションが、基本的に修理というのは非常に難しいんだ、そういうことがあるから建てかえざるを得なくなるということがあると思います。  ちょっと図を使って説明させていただきます、皆さんのお手元にお配りしてありますので。
 例えば、今のマンションというのは、やはり配管が専有部分の中を通っているわけですよね。きのう法務省の方に御説明をお伺いしたら、各住戸の中に、右上の方にマンションの見取り図がありますけれども、こういうふうに赤いところに排水管、給水管があります。つまり、専有部分に共用部分が入っているということですね。きのうのお話だと、この部分、パイプのところだけは共用なんですよという御説明でした。しかし、現実にはパイプを囲んでいる壁がある。壁は専有なんですよね、民事局長。
  房村政府参考人  説明は難しいんですけれども、壁として区分所有の仕切りで構造をなしているようなものは 共用部分、ただ、その内側、面している表面の部分は専有部分だ、こういうことでございます。
  井上(和)委員  つまり、これは上から見た図なんですけれども、パイプがあって、その一番外側は専有部分 なわけですよ。つまり、共用部分を取りかえるのに専有部分を壊さなきゃいけないでしょう。そういう構造になっているわけですね。だから、聞くと、現実にこういう排水管のパイプを交換するのは不可能だということを言っている設計者もいました。つまり、もとから日本のマンション自体が、修繕をして長く使おうという設計思想でできていない。
 最近やっと出てきたのが、一部のマンションでは、要するにスケルトン・インフィルといいまして、SIですよね、こちらにある。つまりは、こういう従来型のマンションのように、共用の給水管、排水管が専有部分を走っているということはない。つまり、共用は共用で排水管が別個に走っている。そういうものが今できつつあるんだけれども、現実には、そのマーケットシェアというのは一%以下なんですね。これだったら、排水管、一番壊れやすいのはパイプですから、パイプが壊れてもスムーズにかえられる。そしてまた、今現実に起こっているような、こういうふうに共用部を直すために専有部を壊してやるということもないわけですね。
 例えば、もし、おれは決議に反対したからうちの専有部に入れさせないということになったらど なるんですか、民事局長。
  房村政府参考人  区分所有法におきましては、共用部分の維持管理のために必要があれば専有部分に立ち入れ る、こういう規定がございますので、それを用いて入るということになろうかと思います。
  井上(和)委員  つまりは、強制的に入ることもできるというわけですね。大臣、日本のマンションの構造と いうのがもうそういうことなんだと、ぜひ御理解していただきたいと思います。
 今の件で、これはちょっと手元にお配りしていないので見にくいかもしれませんが、これが排水管で、これは天井なんですね。これはコンクリートにもう埋め込まれているわけです。そして、その上をモルタルで固めてある。つまり、もともと交換するという思想でできていない。
 だから、やはりこれを変えていかなければ、今ずっと議論しています、とにかく長く住めるマンションでなるべく修繕していく、そういうものができない。だから、根本的にこれまでのマンションの構造そのものを見直していかなきゃいけないというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  扇国務大臣  技術は日進月歩でございまして、新しいものは新しい仕様でまた知恵を絞って新しくなっていき ますけれども、今問題になっておりますのは、古いマンション、もう建てかえ時期に来ているマンションというお話をしておりますので、そういう意味では、古い形の、あるいは今おっしゃったような、本来はこういう新しい方式をとるべきだ、けれども従来は、こういう難しい、天井に入らなきゃいけないような構造になっているというのは、私は時代の流れだと思うので、いたし方ないと思います。そういうところは、昔は安くお買いになったということもあります、設備が整ってきれいなところはやはり高いわけですから。  そういう意味では、各マンションが管理組合もつくっておりますし、マンションの管理士というものも皆さんに法案を通していただいて、自分たち素人でわからない部分はマンション管理士に意見を聞くということも法律としてつくっておりますので、そういう意味では、今までの、古いところに問題があるというのは、建築構造そのものに問題がある、個々の皆さん方のせいではない、物の時代的な流れでございます。
 そういう意味では、できるだけ管理組合で御協議いただいて新しい方式に変えるなりなんなり、それは私は、今回、両々相まったと私申しましたけれども、両輪になりましたので、法的にも皆さん方で御協議いただいて、より多くの皆さん、一人二人反対なさるというのはもう当然あると思いますけれども、より長く使うためには、人間も同じでございまして、時々古くなった部品をかえる方もいらっしゃいますので、そういうことで、点検をしていって古い部品をかえて、そして、今住んでいるマンションをより長く使えるように、やはり組合として御協議いただくのが私は一番いいだろう。
 その費用に関しては、先ほども申しましたように、るる御事情があろうと思いますけれども、できる限り積立金というものを増していって、私は、マンションによってより充実した快適な生活が送れるように配慮すべきであろうと思っております。
  井上(和)委員  大臣、お言葉なんですが、行政が時代の流れに流されているんじゃ困るんですね。やはり、 行政というのは時代を先取りしていかないとだめだと僕は思うんです。
 今、こういう問題点がわかっているわけですよ。問題点がわかっていながら同じようなものをつくり続けている。つまりは、いずれは建てかえればいいんだと、排水管までかえるとは余り考えていないからそういう設計思想になるんじゃ 物によると思います。私もマンションをたくさん知っておりますけれども、いいところもあれ ば、あるいはおくれて、昔建てて古くなっているものもございますので。  これは、建築許可を受けるときにみんな出しているわけですから、各地方自治体でこれを許可しますけれども、我々としては、より皆さん方に、こういう問題が起こらないような工法をすべきであるというのは当然のことなので、これはもう専門家がもっと真剣に考えていることだと思います。井上議員がおっしゃったように、より快適な、より今後長もちするような建築の設計法というものをそれぞれが適用し、それぞれが取りかえが可能な、あるいは良質な知恵を出していくべきだと思っております。ないですかね。
  扇国務大臣  物によると思います。私もマンションをたくさん知っておりますけれども、いいところもあれ ば、あるいはおくれて、昔建てて古くなっているものもございますので。
 これは、建築許可を受けるときにみんな出しているわけですから、各地方自治体でこれを許可しますけれども、我々としては、より皆さん方に、こういう問題が起こらないような工法をすべきであるというのは当然のことなので、これはもう専門家がもっと真剣に考えていることだと思います。井上議員がおっしゃったように、より快適な、より今後長もちするような建築の設計法というものをそれぞれが適用し、それぞれが取りかえが可能な、あるいは良質な知恵を出していくべきだと思っております。
  井上(和)委員  私は、やはり、専門家だけじゃなくて、大臣にしっかり考えてもらいたいと思います。なぜ なら、大臣は日本の建築行政の最高責任者であるからです。
 だから、ぜひ考えていただいて、やはり百年もつ、長くもつものをつくる、そして修繕が容易なものをつくる、常に、スクラップ・アンド・ビルドじゃなくて、本当に社会資本として優良なものをつくっていくというふうにやはり建築行政を転換していかなきゃいけないと思うので、ぜひ、専門家の皆さんとともに、指導していただいて、やっていただきたいとお願いしたいと思います。
  扇国務大臣  私、マンションをたくさん知っているんです。それは、両親もマンションに住んでおりましたし、しゅうと、しゅうとめもマンションですし、そのマンションはすべて私が見て選んだマンションでございますから、かなり詳しいと思っております。新旧知っております。
 けれども、マンションの中、いろいろ住む人の心がけによって物すごく違うんですね。ですから、今パイプの話をなさいましたけれども、絶えずパイプが詰まらないように気をつけている個人、少なくとも、マンションだから共用部分は余り関知しないんだというんじゃなくて、それぞれの自分のうちだという、その個人の専門部分のメンテナンスというものも、個人の心がけによって、全体のマンションの耐久年数というのは物すごく変わってくる。そういう意味では、全部依存するのではなくて、マンション組合できちんと個々のメンテナンスのあり方、使い方、ごみの出し方、掃除の仕方までお互いが協力する。
 マンションは共同住宅ですから、そういう意味では、特に組合の規程、それぞれおつくりになっています。定款がございます。ですから、その定款を守って、より共同で、心を合わせて、同じ共同住宅の住民として、より長もちするように、外的なものは当然でございますけれども、内的なものも、マンションに住む心得というものは、定款に書いてあるのをよく組合で論議なさって、私は、ぜひ長もちするようにしていただきたいと思っております。
  井上(和)委員  SIは、スケルトン・インフィルというのは、これからのやはり中心になると思うんですけれども、こういう構造を国土交通省として推進する気はあるのでしょうか。
  松野政府参考人  委員御指摘のSI住宅でございますが、スケルトン、骨組みと、インフィル、その中の内装 等を組み合わせるということでございますが、これは、先ほどから御指摘になっておりますような、寿命の短い部分を簡単に取りかえられるというような概念も含めて、大変重要な考え方だと思います。これまで、国土交通省におきましても、このSI住宅の研究開発を推進してきております。総合技術開発プロジェクトでも、既に研究を進めてきております。
 こうしたマンションの普及促進のため、このスケルトン住宅、SI住宅の指針を既に作成をしております。また、補助事業によりましても、実際の事業を支援するという事業を用意しております。また、住宅金融公庫の融資の基準においても、この耐久性に配慮した優遇措置を用意しております。また、住宅の品確法に基づきましても、住宅の性能表示の中でそういった高い耐久性を持ったものについての表示制度もできておりまして、それに基づく情報提供を行うといったことを今実施しております。
  引き続き、御指摘のようなSI住宅の普及を推進してまいりたいと考えております。
  井上(和)委員  時間なので終わらせていただきたいと思いますが、幾つかの問題点を私きょうの質疑の中で 指摘させていただきましたので、ぜひ大臣、各問題点を検討していただいて、よりよいマンションができるように、そして快適な居住環境を国民に与えるように、よろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。